この店はロケーションが非日常的なところがまず楽しい。歌舞伎町のはずれ、新宿駅から呼び込みや怪しげなホテル街をかいくぐらないと店にたどり着けない。店がある雑居ビルも怪しげだ。

若い頃はさんざん遊んだのに、仕事で忙しくなって歌舞伎町にご無沙汰な中年世代を案内すると、この道程に小躍りする。

店は宍倉氏ひとりで切り盛りする。長く新宿二丁目の割烹「百千」で理事長を務めていた彼が三年半前に構えた城である。内装は簡素だが、浮いた分の値段を料理に投入しようという意気込みがうかがえる。

料理は七千五百円のコース一種類のみだが、土曜と祝日には飲み放題コースもある。

夏のある時期は、特大の牡蠣を酒蒸し、塩水雲丹や新秋刀魚は刺身で、早松茸は真鴨で巻いて七輪で焼く。どれもシンプルな調理だが、素材の特性が充分に活かされてうまい。

猥雑な場所で、こんなに潔い料理に出会えるとは誰も思うまい。贅を尽くした店で繊細な料理をいただくのとは違った快感がこの店にはある。

日本酒は宍倉氏が選んでくれるのだが、小さい蔵の聞いたことがない銘柄がきちんと温度管理されている。もちろん焼酎やワインもあるから、好きな酒を選べばいい。

締めはその日によって炊き込みご飯だったり、丼ものだったり、銀シャリだったり。お腹が満足したら、夜の帳の中へ戻ろう。巷の誘惑はさらに多いから、惑わされぬように。

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